第1章 鏡 大倶利伽羅
「今のって一体…」
「わからない。もう気配は無いようだが…」
立てるか、と大倶利伽羅に支えてもらいながらなんとか立ち上がったものの、緊張が解けたせいか足に力が入らず膝が震えてしまった。
「ごめん、ちゃんと歩けそうにないし支えてもらってもいいかな」
「………」
大倶利伽羅はじっと私を見て黙り込んだ。
さっきの怪異は助けてくれたけどそれ以上は馴れ合わないとかそういう感じ?
顕現して時間は経っているし修行も終えて最初の頃より随分雰囲気が柔らかくなったけれども、そこまで馴れ合うつもりは無いってことかしら。
…なんてことを考えていると、なんと大倶利伽羅に抱きあげられ
ふわりと体が浮いた。
「あの、大倶利伽羅?支えてくれたら多分歩けるよ…?」
予想外の彼の行動に動揺していると、「こっちの方が早い」と私を抱き上げた状態で歩き始めた。
足は震えるものの、頑張れば歩ける程度だったので正直恥ずかしい…。
夜中で誰も見ていないのがせめてもの救いだった。