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紅玉の瞳

第3章 無限


数日の間ほのかは何も手につかない状態で食事もまともに取れていなかった

そんな中杏寿郎と共に任務に出ていた隊士が煉獄邸にやってきた
外ではなにやら騒ぎになっているようだが、ほのかはぼーっと遠くに聞いているだけ

ぱたぱたと部屋の前に足音がする

「姉上!」

千寿郎だった

「先程炭治郎さんという方が来られて兄上からの遺言を託されました」
「そぉ...」
「姉上にも...兄上からの言葉があるのですが」
「...」
「『俺の部屋の机の引き出しを見てほしい』だそうです」
「つく、え?」

ほのかは動く気配がない
千寿郎はそんなほのかを見ならがらそっと襖を閉めた


日が沈み部屋が暗くなる
漸くほのかは立ち上がり部屋を出た
行き先は杏寿郎の部屋

共に過ごした部屋にはもう杏寿郎は戻ってこない
ほのかは入るのが怖かった

襖に手をかけ開く

暗い部屋の奥に机があるのは良く知っている

そっと引き出しを引くとそこには手紙が入っていた

ほのかは部屋に灯りを灯し手紙を開く

『 最愛なるほのか
  この手紙を見ているということは
  俺はもう
  この世にいないのだろう 
  寂しい思いをさせてしまった
  申し訳ない
  俺たち鬼殺隊は
  いつ命を落とすかわからない
  そんな中でほのかに俺の気持ちを
  伝えるか悩んでいたが
  伝えられないというと悔いを残しそうで
  俺は俺の気持ちに正直になった
  ほのかは向き合ってくれて
  俺を受け入れてくれた
  一緒に過ごした日々は今までで
  一番幸せだったと思う
  欲を言えばほのかとの
  将来を見てみたかった
  
  きっとほのかのことだ
  憔悴しきって
  食事もとっていないことだろう
  心配だ
  俺からの願いだ
  現実を受け止めてくれ
  前を向いて立ち上がってくれ
  ほのかには幸せになってもらいたい
  
  最後に俺の嫁になると言ってくれて
  ありがとう
  愛している 

  煉獄杏寿郎 』



  
  

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