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嘘つきのヒーロー

第26章 誤解



この怪我が幻想のせいだって…?
何言ってんだこいつ。

幻想がどんな目に遭ったのか知っていてそんなこと言うのか?


俺があまりの怒りに何も言えないでいると
そいつは俺に近づいて、更に話を続けた


「しかも幻想さんって話しかけても反応悪いらしいじゃん、心操だって遊ばれてるんじゃないのー?」

そう言われ俺の中の何かが切れた音がした。


お前は幻想がどんな奴か知らないからそんなこと言うんだ。
あいつは本当に優しいやつなんだ。

言葉にするのが苦手なだけなんだ。


怒りを抑え込もうと必死になっているとそいつは俺の顔を覗いて言った。

「幻想さんなんかより私と遊ぼうよ」


目が合ったそいつの目はとても澱んでいて、
幻想の目を見慣れている俺には吐き気がするほど汚く思えた。



「お前…いい加減に…」

俺が何か言おうとそいつの肩を掴むと同時に、教室のドアが開いた。




そこには幻想が立っていた。


「…幻想…お前どうして…」

俺がそう言うと幻想は

「明日から復帰だから必要なもの取りに来たの」

そう言って俺の目の前にいる女子を見た。
それに気づいて慌てて手を離すと幻想は言う。


「ごめん、お取込み中だったみたいね」

そう言ってドアを閉めてしまった。



「おい!ちがッ…」
俺は焦って追いかけようとするが女子に袖を引っ張られた。


「いいじゃんほっとけば」

そう言われ、腹から何かが湧き上がってくる。


「お前みたいな知らない人間のこと好き勝手言うやつ、一番嫌いなんだよ」

そう言い残して教室を飛び出した。








急いで幻想を追いかけると、廊下の少し先を歩いていた。

「幻想!」

そう呼び止めるが反応はない。

絶対聞こえてんだろ…
そう思って俺は幻想のすぐ後ろまで駆け寄った。


「幻想!無視すんなよ…」

そう言って肩を掴むと、幻想は振り返った。



怒っている。
幻想の顔を見てそう思った。

はじめて見た表情に動揺していると幻想は口を開いた。
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