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嘘つきのヒーロー

第26章 誤解


「なに」

「あ…いや、なんていうか」

俺がどもっていると幻想は視線を戻して歩き出してしまう。
それを見て俺は益々焦ってしまった。


「おい待てって…あいつとは全然話したことないし、ほぼ初対面だよ」

そう言うと幻想は振り返って俺の目を見た。


「だから何?…私には関係ない」

そう言ってまた歩き出してしまう。


「なあ止まってくれよ、なんでそんなに怒ってるんだよ」

幻想の手を掴むと振り放された。

「怒ってないよ」

「じゃあ俺の目見てよ」

そう言っても幻想は俺の目を見てくれなかった。


「なんで…そんな態度取るんだよ…」

俺が幻想に言うと、幻想は唇を固く閉じていた。


「幻想…」

「…私だって分からないよ、…何でこんな気持ちになるのか」


そう言って俺の目を真っ直ぐ見つめた。


「私もう…心操への気持ちぐちゃぐちゃで分かんないよ」


幻想の目には今にも零れそうなほど涙が溜まっていた。


俺はそれを見て息をのんだ、
幻想はきっと色んなことを溜め込んでいるんだ。


「幻想、俺話があるんだけど」

俺がそう言うと幻想は俯いて

「ごめん私は話したくない…」

そう言われてしまった。


そうすればいいのか分からず黙っていると、後ろから声がした。




「お前ら何揉めてるんだよ」

そう言われ振り向くと相澤先生が立っていた。


相澤先生は俺と幻想が黙っているのを見て、軽いため息をついて。


「幻想、お前に頼みごとがあるんだが」

俯いている幻想にそう言った。


「…なんですか」

幻想がそう言うと相澤先生は俺の目を一瞬見て


「個人的なお願いだが…心操の話を聞いてやってくれないか」

「えっ…」

「頼む」

そう軽く頭を下げた。



突然のことに俺と幻想は唖然としていた。

だけど幻想は相澤先生を見て、仕方なく頷いてくれた。
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