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嘘つきのヒーロー

第26章 誤解


【心操人使side】

幻想が誘拐される事件があってから数日、幻想は数日間自宅療養になった。


日が経つにつれクラス内で事件のざわつきが収まっていく中、
俺は幻想の言葉について考えていた。



『 こんな個性…ヒーローになれないよ 』


その言葉は俺の胸に深く根を張った。

きっと幻想はあいつに対して何もできなかったことを悔やんでいるんだろう。
目隠しをされては幻想の個性は使えないんだから…


あいつはきっと一人で強くなりたいんだ。




だけど、一人ってそんなに重要な事なのか。
自分一人で戦う事がそんなに大切な事なのか?


皆それそれハンデがある…それを教えてくれたのは幻想じゃないか。


そのハンデを補い合って戦うことはできないのか?







放課後、
同じことを悶々と考えているとふと声をかけられた。


「あっここにいた!心操―怪我は大丈夫?」

そう言われ声の方を見ると見たこともない女子がいた。


「………?、誰ですか?」

俺がそう言うとその女子はA組にずかずかと入ってきた。

「私だよー忘れちゃったの?普通科の時クラス一緒だったでしょ」

そう言われ、見たことがあるような気がしてきた。


「あー…ごめん、…なんか用?」

そう言うとそいつは俺の使っていた机に腰かけて話し始める

「心操が編入してから私たちすっごく応援しててー、心操が怪我したのもみんな心配してるんだよー」

そう言ってわざとらしく俺の肩を叩いた。


「そうなんだ、ありがとうって言っておいて」

なんだか不快に思い席を立とうとするが、その女子は話を続けた。

「心操ってさー幻想さん?って人と付き合ってるわけ?」

そう言われ鳥肌が立った。


「付き合ってないけど、あんたに関係ないだろ」

俺がそう言うとそいつは笑いながら

「だって普通科でも噂になってるよ?毎週一緒に外出してるんでしょ?」

そう言われ踏み込まれて欲しくないものに踏み込まれた気がした。


「だったらなに」

俺がそう言うとそいつは媚びたような目で俺を見つめる。

「だってえー、心操その子のせいでその手怪我したんでしょー?」

そう言われ身体に力が入っていく。
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