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嘘つきのヒーロー

第31章 連れ戻す言葉


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私の個性は使うたびに相手の記憶と現実にラグが生じる。
私はそれを利用してやつらの思考を錯乱した。


しかしこいつらは馬鹿ではないようで
何とか心操を私の背後に移動したところで、私の個性に気づかれてしまった。



「毎回記憶と現実とが若干違ってる…お前なんかしてるだろ」

「4年前のテロの生き残りで確か“記憶を改ざんする”って珍しい個性のやつがいたよなあ」


そう言われ私が何も言わないでいるとそいつらは楽しそうに笑った。


早く…はやく誰か来てくれないと心操が…
私だけじゃ守り切れないかもしれない


そう考えているとそいつは私に向かって言った




「お前の父ちゃんと母ちゃん、殺しちゃって悪かったなあ、新聞で見たよお前のこと」

「かわいそうだったよなあ!はははっ!」



そう言われ、頭から冷水をかけられたような感覚になった。



ああ、こいつら反省してないんだ
そう確信した時私の中に殺意が沸いた



こいつらを殺してやりたい


ヒーローになるとかどうでもいい、誰かを救うとかどうでもいい


ただこいつらを殺してやりたい


そう思って非常用に備えてあるナイフを取り出した。
いつもは敵(ヴィラン)相手にだって使わない。

殺傷能力がとても高いから。

だけど今は違う。




こいつらは…

父と母の仇だ。




私がナイフを取り出すとそいつらは目の色を変えた。

「なんだお前本気で俺らとやりあうつもりかよ」

「…あんたたち、生きてる価値ないよ」


そう言うとそいつらは眉間にしわを寄せて私に襲い掛かってきた。



そう来ると思った。
襲い掛かる二人と私は目を合わせた。


私は個性を使って“記憶を改ざん”する
できるだけ恐ろしく、できるだけリアルに、


それを繰り返すと二人は現実と記憶との矛盾に混乱し、何が何だかわからずうずくまってしまった。



目が痛い、あまり強い改ざんをすると目がひどく痛む
だけどそんなのもうどうでもよかった




私は残った一人にも個性を使って記憶を改ざんする


今こいつがここにいる記憶を
思いつくだけの残酷な記憶に

そうするとただの書き換えられた“記憶”であるのにそいつは叫び声をあげる



それを見て私はナイフを持って近づいた
こいつを殺したい

こいつらに二人は殺されたんだ
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