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嘘つきのヒーロー

第31章 連れ戻す言葉


そう思いナイフを振り上げたとき、後ろから声がした。







「幻想、それじゃお前はそいつと同じだ…」


そう言われハッとした。
振り向くと心操が這いつくばりながら私の目を見ていた。


その目を見て思考が停止する。



私が振り上げたナイフを下ろさないでいると、そいつは私に言った。


「もういいよ、さっさと殺せよ、やりたいんだろ」


そう言われ私の心は揺れた。
今こいつを殺せば仇が打てる。

だけど…






「幻想…ヒーローに…なるんじゃないのかよ」

後ろで微かに心操の声がした。



それを聞いてフラッシュバックみたいに思い出した。




『ヒーローになってね、叶おねいちゃんみたいに誰かを助けるの』



あの時、あの女の子は言ってくれた。


そうだった、
私はあの子に恥じない人間になるために

誰かを救うために


ヒーローになるために生きてるんだ。








そう思い私はナイフを静かに下ろした
それを見てそいつは不満そうに言った。


「なんだよ殺したかったんじゃねえのかよ」

そう言われ、私は心操の言葉を思い出す





「大切な人に、一緒にヒーローになろうって言われたの。だからあなたは殺さない」




私がそいつを捕縄しようとした瞬間
後ろからお茶子ちゃんと梅雨ちゃんの声がした。




「やっと見つけた!」

「探すの大変だったわ」

そう叫ぶ二人に私は


「二人とも!お願い残りの二人を…」

そう言うと二人は状況を察して残りの二人を捕縄してくれた。



その後駆け付けた警察とヒーローによってそいつらは連行され、大怪我を負った心操も病院に搬送された。
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