第10章 奥州遠野一家
その人だかりの中に冷麗もいるようだ
んー⋯リクオは寝巻から着替えてるし、今から実戦でもするのかな?
なら、見学するか
そう思い私は明鏡止水を発動する
これなら誰にもバレないはず
フッと空気が変わる
リクオが明鏡止水を発動したらしい
『うん、上出来かな』
集まっていた妖が臨戦態勢をとる
だが、そのうちの一人がストップをかけた
「やめろ!!今戦ってんのはこのイタクだ。
やつの畏を断ち切るのはこのオレだ。」
どうやらイタクと言うらしい
背中にはたくさんの鎌を背負っていた
イタクが鎌を2本手に持ち、構える
「"畏の発動""鬼發(はつ)"」
イタクの発動した畏が鎌に集中する
「"鬼發"の"移動""鬼憑(ひょうい)"」
イタクが鎌を振るうと大木に斬撃がぶつかる
それと同時にリクオの畏が破られた
「妖怪忍法"レラ・マキリ"、オレの⋯秘技だ。」
『⋯ん?』
ビキィッ⋯ビシッ⋯
実戦場の周りにある木が一斉に音を立てる
どうやらイタクの畏が広範囲に被害を及ぼしたらしい
リクオは傷だらけになっていた
「畏をやぶるには⋯気合いや気迫のたぐいでしかなかった自らの畏を具現化し、技として昇華させることだ。畏を以て畏をやぶる⋯これが妖怪の歴史の必然で産み出された対妖用の戦闘術⋯これを⋯この里では"鬼憑"と呼ぶ。」
イタクはリクオに説明する
それを聞いてリクオはイタクに"鬼憑"を教えて貰えるよう頼んでいた
『ん?⋯⋯傾いて⋯る?』
私が乗っている木は実戦場の近く⋯
少しずつ木が傾いていくのがわかった
一気に木が倒れていく
『う⋯わ⋯っ!!』
私は慌てて実戦場に着地した
一気に目線がこちらに向く
『⋯はは⋯こんにちは?』
「サクラ?出て来れたのね、良かった」
冷麗が声をかけてくれた
『ええ、出してもらえたわ。ありがとうね、冷麗』
そう言った時だった
「⋯姉貴?」
『やっほー、リクオ』
私はヒラヒラと手を振る
「「「姉貴⋯!?」」」
周りにいた妖達が反応した
『えっと⋯奴良サクラって言います。そこにいるリクオの姉です。
よろしくお願いします?』
「何でここに⋯?」
リクオが聞いてきた
『おじいちゃんが行ってもいいって言うから来ちゃった』
「じじいめ⋯」
リクオは舌打ちしていた