第10章 奥州遠野一家
『へえ⋯?』
なんか随分あの細い河童にナメられてるというか⋯赤河童以外は私をナメてかかってる気がする
「お前の弟は京都に行くとかほざいておったな。
河童犬の畏も破れぬ奴が京都に行けるはずもない。
どうせお前も同じだろう、畏も破れぬお前らではな。」
『⋯畏を破ることが出来れば、自由にしていいって事ね。
わかったわ。』
私はスタスタと部屋の真ん中を歩き、出口へ向かう
「ははは⋯奴良組も落ちたものだ。
総大将補佐と言えど、先程の若頭とかわるまいて」
猿達の声が聞こえる
私が玄関を降りようとした時だった
女の顔が玄関の下から現れる
『うわ、気色悪い』
思わず本音が出てしまった
女の顔は泣きながら引っ込んだ
いや、ごめんて⋯流石に突然顔だけ出てきたらそう言うって⋯
ふと、目の前を見た時だった
1匹の犬がいた
『?』
犬が襲いかかってくる
『⋯ここは襲いかかってくる者は倒してもいいのかしら?』
私がそう言うと、赤河童が返事をした
「かまわん」
『そう。』
犬が私に触れた
だが、犬が私に触れる事は出来ない
ドロリ⋯
鏡花水月を発動し躱す
再び犬が襲いかかってくる
『しつこいわね⋯⋯お座り』
陰陽術をバレないように使い、重力を操る
犬は伏せの体勢を取らざるをえなくなった
「⋯⋯」
猿達が黙った
『それじゃ、好きにさせてもらうわ』
私は屋敷を後にした
「あいつはやべぇ⋯」
「桁がちげぇ⋯」
「「あいつには逆らっちゃいけねぇ」」
猿達は声を揃えてそう言ったらしい
しばらく里を散策する
私がいた屋敷はあそこだから⋯逆側に行ってみるかな
少し歩くと川に出た
川の近くに洗濯物が放置されている
あれは絶対リクオが逃げた後だ
なら、近くにいるのかしら
私はリクオを探すために上へ登る
『んー⋯どこだろ』
妖気が多すぎて探すのも大変だ
『いた』
リクオの妖気がした方へ向かう
そこは実戦場だった
大きな丸太に切れ目が入った実戦場
『大きいわね⋯』
私は近くの木に飛び乗り、様子を伺っていた
実戦場の端に少し人だかりが出来ている
よく見るとそこにリクオもいた