第10章 奥州遠野一家
『リクオ、ここで沢山鍛えてもらいなよ?
あ、そうそう。私はなーんにもヒントも出さないからね。
おじいちゃんに怒られるし』
「そーかよ。」
『まあ、頑張ってね?』
それから、集まっていた妖達が自己紹介をしてくれた
まずは、冷麗から
沼河童の雨造
あまのじゃくの淡島
座敷童子の紫(ゆかり)
経立(ふったち)の土彦
そして鎌鼬のイタク
みんな強いんだろうなー、なんて思っていると淡島達がリクオに次々と挑んでいく
休憩もなく実戦をしたリクオは傷だらけだった
『にしても、ここは妖気がたまりやすいのね』
そのおかげかリクオはずっと夜の姿だ
「日のあたる土地が少ないからかたまりやすいみたいよ?」
冷麗が答えてくれた
『そうなのね。道理で肌寒い訳だ』
それから、しばらくリクオは戦い続けていた
ほぼ一日ぶっ通しの実戦だ
「で、サクラは"鬼憑"使えるの?」
冷麗がニコニコしながら聞いてきた
『使えるよ。リクオにヒントは出せないけどね?』
「そうなの?なら、どうしてサクラはここに?」
『んー⋯単純に遠野に興味があったのと、リクオの様子見かな』
「ふふ、心配よね弟って」
『そうなのよ⋯本人には言えないけどね』
私がそう言うと冷麗は笑っていた
そんな話をしているうちにあっという間に一日が終わる
次の日もその次の日もリクオは実戦形式の修業に臨んでいた
雑用もこなしながら修業をするリクオ
夜の姿で家事をする姿は不思議だった
というか、違和感ありすぎて笑った
それから数日後⋯
いつものようにリクオは川で洗濯をしていた
洗濯物を持ち、岩の道を登っていく
私はそれを近くで眺めていた
その時だった
近くで感じた妖気⋯鬼?
『リクオ!』
感じた妖気のうち一人がリクオに向かっていく
どうやらリクオも気付いたらしい
妖はリクオに攻撃を仕掛けたものの、リクオはそれを避ける
残りの二人もリクオの側まで来ていた
だが、リクオは明鏡止水で姿を隠す
少しはもつだろうが、今のリクオの畏では破られる可能性が高い
『うーん⋯助けるべきか否か⋯』
修業としてリクオがピンチになったら助けるか
そう思い、少し離れた場所から様子を見ることにした