第10章 奥州遠野一家
「せいぜいしっかりやることだな。
おい、もうよいぞ。連れて行って見習い仕事を教えてやれ」
赤河童の横にいる細い河童がそう言った
未だに状況が把握出来ない
だが、猿の妖達がオレの脇をかかえる
「あ!!おい。
見習い!?東北!?ふざけんな!!オレは早く京都に行かなきゃなんねーんだよ。」
「京都⋯?」
猿達がキョトンとする
そして突然笑い始めた
「ハハハハ⋯お前が京都、笑わせるわ!!」
「"畏の発動"しか出来ぬお前では死に急ぐも同じ」
細い河童にも笑われる
「そうかい」
オレは猿達が手を離した隙を見計らい、屋敷を抜けようとする
「おい!!逃げる気か」
玄関のような場所を降りようとした時だった
「そう簡単に出られないよ。ここからね」
玄関の下から突然女の顔が出てくる
思わず驚く
ふと目の前を見た時だった
1匹の犬がいた
犬⋯?
そう思った瞬間、オレはひっくり返っていた
「ははははははは、河童犬に敗れたぞ。」
「犬以下じゃ」
「奴良組の若頭は犬以下じゃ」
猿達に笑われる
じじいの時と同じだ⋯今⋯何された⋯?
なんだここは!?
サクラside
「おい、赤河童様が呼んどるが〜」
なまはげが迎えに来た
という事はリクオが起きたらしい
この里に来て1日半程経っただろうか
『わかったわ』
なまはげについて行くと大きな屋敷についた
屋敷に入り、奥を見ると大きな赤い河童と私達を遠野に連れてきた細い河童がいた
周りには猿の妖や鳥の妖⋯沢山の種類の妖達がずらりと並んでいた
「ふむ⋯あんたも「ぬらりひょんの孫」かい」
『そうだけど、あなたが赤河童?』
「おい、赤河童様になまいききいちゃいけねぇ」
猿の妖達が敵意を向けてきた
『⋯私を呼んだってことはリクオが起きたんでしょう?』
「⋯そうだ。」
『そう。それで、そのリクオ本人はどこへ?』
「あいつは見習いとして今頃洗濯でもしているだろう。」
細い河童が答えた
⋯いや、逃げ出すよな
絶対逃げ出すよな。夜の姿だろうし⋯
『そうなのね。で、私は何をすればいいの?』
「修業でも何でもすればいい。ただし、ここからは逃げ出すな。
まあ、お前も抜け出そうとしたとて無理だろうがな。」