第10章 奥州遠野一家
『何かご用?』
「食材と⋯道具を持ってきたのよ」
『!ありがとう、冷麗。あ、私は奴良サクラ。よろしくね?』
「サクラね、よろしく。
料理は出来る?」
『出来るわ。ねえ、私ここから出たらダメなの?』
「赤河童様にあなたの弟が起きるまでは出すな、って言われてるのよ⋯」
『そうなのね⋯。わかったわ、ありがとう冷麗』
「いいのよ、また食材持ってくるわね」
そう言って冷麗は屋敷を出た
しっかり鍵は閉めて行っていた
『とりあえず、ご飯でも作るか⋯』
リクオside
「⋯ん⋯!?」
目を開けるとそこには猿の顔
慌てて起き上がる
確かじじいとやり合って⋯
そこから記憶がねえ⋯
「ちぃ⋯起きたかい。
あと半刻ほど起きなければ喰ってもいいという話じゃったのに」
ヒソヒソと話す声が聞こえる
オレは慌てて自分の寝ていた場所を見た
大きな屋敷の真ん中で釜の中に入れられていたらしい
人1人が入る釜だ、大きすぎんだろ
多種多様な妖がヒソヒソと話す
ヒソヒソとは言っても丸聞こえだが⋯
それにしても⋯
「⋯なんだここは⋯」
寝ている間にどこに連れて来られた?
状況が把握しきれずにいた時だった
「やっと起きたが〜、世話を焼かせる見習いじゃー」
なまはげが近付いてくる
「見習い⋯?」
「ホラ、赤河童様にごあいさつじゃ!!」
なまはげが釜を蹴る
オレは突然釜から放り出された
目の前にはでかい河童
赤河童と言うだけあって本当に赤い河童だった
「あんたが「ぬらりひょんの孫」かい。
ふむ、似とるな⋯あの頃のあやつがよみがえったようだわい。
優秀な奴だけ根こそぎ持って行きおって⋯おかげでワシらが手薄にさせられてしまうし、にくらしい⋯孫もにくらしい顔しとる」
「⋯⋯あんたら誰だ。じじいの知り合いか?
ここはどこだよ。」
そう言った時だった
「おい、赤河童様になまいききいちゃいけねぇ」
周りにいた猿の妖達が殺気を放つ
「ここは東北、遠野の里⋯古くから「妖の里」と呼ばれる隠れ里じゃ」
赤河童がそう答えた
「遠野⋯隠れ里⋯?」