第10章 奥州遠野一家
『それに⋯』
私がもっと早く戻って来ていれば、リクオに普通の生活を送らせてあげれたのかもしれない
戦いに巻き込まれない、平和な生活を送らせてあげられたのかな⋯
「それに?」
『⋯ううん、何でもない。』
「あんまり思い詰めんなよ。」
『ありがとう、鴆。リクオの事よろしくね』
私はリクオの部屋を後にした
それから、カラス天狗が奥州遠野一家が迎えに来る日を教えてくれた
2日後に来るみたいだった
私は支度を済ませた
2日後⋯
今日は雨だった
ずっと降り続ける雨
リクオはこの2日間寝たままだった
屋敷に突然入ってきた妖の気配
『来たのね』
私は玄関に向かう
そこにはなまはげが2人と細い河童の妖がいた
なまはげはリクオを担いでいるようだ
「それじゃ⋯確かに預かりましたぜあんたのお孫さん方⋯。
ワシら⋯奥州遠野一家がな!」
細い河童がそう言った
「気をつけて行ってこい」
おじいちゃんがそう言ってくれた
『!行ってきます』
私はなまはげ達について行き、遠野の里へ向かった
遠野の里に着いて早々、刀を没収された
それはリクオの祢々切丸も同様だ
どうやら、修行が終われば返してくれるらしい
私は小さな屋敷に案内された
リクオは違う場所に連れて行かれたらしく、場所までは分からなかった
「そんじゃ、てめーの弟が起きるまではここで大人しくしでろ。」
なまはげが屋敷に鍵をかける
『え?』
どうやら鍵は外側からかけられているらしい
抜け出せなさそうだ
『⋯リクオが起きるまでって⋯いつ?』
とりあえず屋敷を見て回ることにした
屋敷とは言っても部屋は1部屋
そこにお風呂とトイレがプラスであるぐらいだ
キッチンは無く、囲炉裏がある
ある程度生活は出来そうだ
リクオが早く目覚めるのを祈っとこう⋯
『あ、食材ないじゃん⋯』
囲炉裏があっても鍋もなければ食材もない
一体どうしろと⋯
そう思っていた時だった
ガチャ
鍵が開く音がした
ギィ⋯
扉が開き、誰かが入ってきた
扉の方へ向かうとそこにはピンク色の髪をした女の妖がいた
「あら、もう着いてたのね」
『?あなたは?』
「私?私は雪女の冷麗」