第3章 出会い
「あ、雪麗さん!」
「?どうしたんだい、水木」
「実は、明日お休みをいただきたくて」
水木は居候を始めてから奴良組の炊事などを他の妖と共に担当していた
「構わないけど…どうしたのよ」
「少し買い物に行きたいんです。その…もうすぐ鯉伴様の…」
「ああ、なるほど。
…あんたも隅に置けないねえ…」
雪麗はニヤニヤと水木を小突いていた
「そ、そんなんじゃないですよ?!」
「へえ…?((ニヤニヤ」
「もう…!と、とにかく明日はお休みいただきます!」
「はいはい。気をつけて行くのよ」
「ありがとう、雪麗さん!」
そして次の日
水木は江戸の街へ買い物に来ていた
「えっと…何がいいかしら…」
街で鯉伴に渡す贈り物を探していた時だった
「いたぞ!!その女だ!!」
とても大きな声がした
「…っ!」
声のした方には複数名の陰陽師が立っていた
街がざわめく
人々が水木に注目する
「まずいわね…」
そう呟くと水木が走り始めた
それを追う陰陽師達
「もう半分も力が出せないのに…」
水木はそう言いながら走り続けた
しかし、陰陽師達は飛び道具を使い始める
「…っ!」
陰陽師が射った矢が何本か水木に刺さった
「観念するんだな、妖狐!」
「誰が…するもんですか。それに…私に手を出したことがバレれば…」
「ハッ…妖などに遅れなどとらぬ。それに…妖の仲間を呼んだとて、我々には何も…」
「違うわよ。私を襲うってことは…」
水木が話そうとした時だった
「おめーかい?ここ最近オレのシマでコソコソ嗅ぎ回ってたのは…」
水木の目の前に鯉伴が現れた
「り、鯉伴様…!」
「無事かい?水木」
「何をしている!早くこの妖共を倒さん…か」
そう言った陰陽師の顔がどんどん青ざめていく
周りにいた陰陽師はいつの間にか奴良組の妖によって鎮圧されていたからだ
「で、まだやるかい?」
鯉伴がそう言うとたちまち陰陽師は逃げ出していった
「鯉伴様…ありがとうございました。」
「大丈夫だったかい。怪我は…」
「大丈夫です。このくらいかすり傷なので。
あの、鯉伴様……これ以上ご迷惑をかける訳にはいかないので…その…旅に出ようと…」
「迷惑…?何がだい?」