第8章 休息
今回はお互い木刀での手合わせだ
カンっ
木刀が交わる音が鳴る
「ほれほれ、はよかかってこんか」
おじいちゃんは挑発してくる
『もう、ちょこまか動かないでよ!』
私は木刀を投げる
おじいちゃんは木刀を弾こうとするが、その木刀は消える
『残念、幻覚でした』
木刀をおじいちゃんに振り下ろす
「ふむ…流石じゃのサクラ。じゃが…わしが、見えるかの」
おじいちゃんが畏を発動する
『明鏡止水…』
おじいちゃんの足音が聞こえる
見えないが近付いてきている
『そっちがその気なら…』
私も明鏡止水を発動する
だが、やはりぬらりひょんの畏はおじいちゃんの方が上
すぐに私の畏は破られる
「甘いぞ、サクラ」
『んー、どうでしょーか?』
私の畏を破った直後に振り下ろされた木刀
普通なら回避出来ないだろう
だが、私は畏が破られると同時に鏡花水月を発動していた
ぬらり…
木刀はスルッと抜けていく
「ムゥ…!」
そしてそのまま私はおじいちゃんの首に木刀を当てた
『流石に苦戦したわ…』
私は息切れをしているのに対し、おじいちゃんは息切れをしていなかった
「やるのぅ、サクラ。」
『本気出してないくせに…。』
そう言うと同時に周りの妖達から歓声が上がる
あ、そうだったギャラリーいたんだった
「サクラ、お前も本気じゃなかったじゃろ」
『さぁ、どうでしょう?』
私がそう言うとおじいちゃんは笑っていた
「先に風呂でも入るかの」
『その方が良さそうね。もう汗だくよ』
「今夜は飯が美味そうじゃ」
『常に美味しいわよ。ま、今日は格段に美味しいでしょうけど』
他愛のない会話をしながら道場を出る
おじいちゃんとこんなに話すのは久しぶりだった
奴良組に帰ってきてから玉章の件があったりで結構バタバタしてたしね…
お父さんのことも、リクオのことも…たくさん話すことが出来た
ご飯を食べた後も、会話はしばらく続いた
「サクラが行方不明になってから、鯉伴はお前を死に物狂いで探しとった…」
おじいちゃんがそう呟いた
『みんなに聞いたわ…』
「ま、生きてこの家に帰ってきたんじゃ。鯉伴も喜んどるじゃろ」
『……だといいな』
私は複雑だった
本当にお父さんの最期に会ったのは私だから…