第7章 四国八十八鬼夜行
「魑魅魍魎の主ってのは、骸を背負う輩のことじゃねーんだよ!!」
再びリクオが斬り掛かる
だが、百鬼をまとう妖怪となった玉章に押されていく
玉章はリクオを弾き返した
「ぐっ…」
「若!!」
氷麗が駆け寄る
「玉章!!私たちが相手だ!!」
首無がリクオの前に立つ
「まて、こいつはオレがやる。」
「若!?」
「大将は…体を張ってこそだろ。」
リクオは再び玉章に斬り掛かる
だが、再び弾き返される
傍から見れば玉章の力は圧倒的だった
そして、最悪な事に日が昇りはじめた
「空が白んできたぞ、リクオ…」
リクオは昼間は人間、夜は妖怪…闇があれば…とは思うけど無理だ
少しずつ人間に戻るリクオ
「恨むなら、非力な自分の"血"を恨むんだな…
この街に来て一週間…とうとうこの玉章の"畏れ"が…奴良組総大将のそれを凌駕したのだ!」
玉章がリクオの顎を刀で上げる
リクオは抵抗出来ずにいた
『その刀でリクオに触れないでくれる?』
私は玉章の首に刀をあてる
「キミに、用はない」
玉章が私に斬り掛かってくる
『もう、手加減しないわよ』
玉章の刀を弾く
「なっ…」
『覚悟はいいかしら?
私達のシマを荒らしたこと…後悔させてあげる』
玉章の刀を腕ごと斬り落とす
そこから玉章がまとっていた妖気はどんどん抜けていき、最後にはへたりこんでしまった
「ひゃ…百鬼が!!
刀だ!!うう…うおおおお…も…もう一度ボクに力を…」
そう言って魔王の小槌に手を伸ばす玉章
だが、その手が届くことは無かった
「夜雀!?その刀…こっちに…よこせ!!」
夜雀は何も話すことも無く魔王の小槌を回収し、飛んでいってしまった
「な!?待て、夜雀!?
その刀を…よこせえぇぇぇぇ」
全てが抜け、茫然自失となる玉章
『哀れね…』
「…んで…だ…バカな…どこで…間違ったって…言うんだ…
玉章の方が力は遥か上、なにが…違ったというんだ…」
そう言った玉章に近付くリクオ
リクオはほとんど人間に戻っていた
リクオは首無に支えられながら近付いていった
「組を名乗るんならよ…自分を慕う妖怪くらい…しゃんと背負ってやれよな…
お前につくすために…ボクに死にものぐるいでぶつかってきたアイツ…お前の畏れについてきた奴はいたんだ。
お前が…裏切ったんだ」