第7章 四国八十八鬼夜行
リクオの目が見えなくなる
「世の理には、"陰"と"陽"がある。
"陰"とはすなわち妖怪のこと、"姿"を消し…"闇"に消える…
まさに"陰"の存在……
その"陰"を相殺するもの…"陽"。"陽"の力を持つことで…"陰"を消すことができる。
つまり妖怪退治とは"陽"の力を加えることなのだ」
『それが…人間が生み出した陰陽術であり、リクオがくり出した明鏡止水・桜でしょう?』
私がそう言うと玉章が驚く
「そうだ、普通の妖怪はもたぬ…かつて百鬼を統一したおぬしらの祖父が手にした力…そしてこの玉章が今手にしている力もまた…」
そう言いながら玉章がリクオへ向かっていく
リクオを刺すつもりのようだ
キィン…
刀の交わる音が響く
私は玉章の刀を弾いた
「何…!?」
『そうはさせない。
リクオ、少し下がってな』
「おい!姉貴…!!」
『目、見えてないんでしょ?私の言うことを聞きなさい。』
私がそう言うとリクオは少し下がった
『さーて…ここなら会話も聞こえにくいかしらね。』
「何故お前は夜雀の毒が効かない!?」
先程から目の前には夜雀の羽根が舞っている
だが、夜雀の毒は私には効かない。
『んー…何故でしょうか?
ま、答えは教えないけどね』
「…フフフ…やはり君は面白い。
やはり勿体ない…訊こう、奴良サクラ…我が八十八鬼夜行の末尾に加わらんかね?
悪くないと思うぞ、働き次第では幹部にしてやらんでもない。
どうだ?」
『お断りよ、いい加減しつこいのよ。
しつこい男は嫌われるわよ』
「そうかね…残念だな。
ならば君を殺して、君の畏れを得るとしよう!!」
玉章が私に刀を振り下ろす
『畏れを得る?舐めてんじゃないわよ、狸ごときが。』
刀を弾く
それと同時に夜雀が玉章の横に飛んできた
夜雀は薙刀を私に振りかざす
私はそれを止め、周りに聞こえないよう夜雀に話しかけた
『…夜雀、みんなの目を戻してくれる?
これじゃあ…楽しめないわ』
私がそう言うと夜雀が頷く
薙刀を弾き返し、夜雀をわざと弾き飛ばした
傍から見れば、私が夜雀を倒したように見えるだろう
『さて、玉章?頼りの夜雀も倒されちゃったけど…どうするつもりかしら?』