第7章 四国八十八鬼夜行
それから数時間後
『…リクオ、ちょっといい?』
私はリクオの部屋を訪ねた
「?姉さん?大丈夫だよ」
襖を開け、部屋に入る
『リクオ、お願いだから無理しないで』
私がそう言うとリクオがとても驚いた顔をしていた
「無理なんて、してないよ」
『嘘言わないで』
「嘘じゃ…」
その時だった
屋敷がざわつく
『?何かしら…』
リクオと庭に出るとそこには傷だらけの牛頭丸と馬頭丸がいた
傍には三羽鴉や牛鬼もいる
「牛頭丸!!馬頭丸!!」
リクオが駆け寄る
「牛頭…しっかりしろ!!」
牛鬼が声をかける
『牛鬼、二人をそこに』
私は部屋を指さした
牛鬼とトサカ丸が二人を部屋に運ぶ
私は二人に手を当てた
「傷が…」
二人同時に治す分時間はかかるが命に別状がない程度に治癒を行う
『後は、鴆に診てもらって。
あんまり治癒し過ぎると自己治癒力が弱くなっちゃうから』
私がそう言うとリクオが入ってきた
「牛頭丸…ゴメン…ボクのせいだ。
君は…ボクの命令で動いたのに…こんな…こんなことになるなんて」
周りの妖怪達が驚き、ざわめく
「リクオ様の命令…だったんですか!?」
そう言ったのは氷麗だった
「うるせえっ…テメェの傷を…人のせいにするとか思ってんのか、オレがっ…
オレの…力不足だっ…」
牛頭丸がそう言った
「牛頭丸…」
ヒソヒソと聞こえてくる声
「リクオ様の…作戦だったのか…」
「牛頭丸…馬頭丸が…これって…」
「リクオ様では…ダメなんではないか…?」
「そりゃまぁ…総大将でなければ」
「この組は妖怪集団。率いれるわけがない…」
「結局は人間のガキなんだ…本当にまかせたのか?牛鬼やダルマは…」
「器を見誤ったのではないか…?」
ヒソヒソと話してばっかりで、誰も行動しないくせに
『ヒソヒソ話してないでハッキリ言いに来なさいよ。
それが出来ないなら黙りなさい』
シン…と静まり返る
「若…これは私が推薦したもの…これは…我々牛鬼組の責任」
牛鬼がそう言った
「ざけんじゃねぇ、四国の奴ら!!奴良組のシマで好き勝手しやがって!!それなら!!こっちから乗り込んでやろーじゃねぇか!!みんなぁ!!
なんだよ…おめーら!!なんで…誰も反応しねーんだ!!」
そう声を上げたのは猩影だった