第7章 四国八十八鬼夜行
「何、のんきなこと言っとんじゃ二人とも!
7、8人でこの状況なら、もっと来たら全滅するぞ奴良組!!」
「おちついてよ一ッ目…」
リクオが一ッ目をなだめる
「あのなぁ…これ以上幹部が狙われたりしたらどーすんの!?
ワシらは死にたくねーんだかんな!!」
一ッ目がそう言った
「うるせえぇ!!」
そう叫んだのは一番奥にいた若い妖だ
「黙って聞いてりゃーさあぁ…責任とれるか…あ?
自分は死にたかねぇ?これが奴良組か!
てゆーかマジがっかりなんだけど!
オレの親父から聞いた話じゃ盃に関係あるやつはみな縁者!!兄弟…仲間ァ殺されたら立ち上がる!!それが…妖怪仁義なんじゃねーの!?」
それに反論するのが一ッ目だ
「なんだぁ!?若造エラソーに、でしゃばんな!!」
一ッ目にそう言われると、若い妖は立ち上がる
とても身長が高いため威圧感は凄かった
「若っ!だれですかこいつは!?」
他の幹部がリクオにそう聞いた
「ああ…ごめん、すっかり紹介忘れてた。
彼は二代目だよ。引退した狒々の息子、猩影くんだ!!」
リクオがそう言うと幹部達が再びざわめく
「とにかく、護衛の強化はしよう。
出来る限りのことはする、これ以上ヤツらの好きにさせる訳にはいかない」
リクオがそう言い、総会は解散となった
幹部達が帰って行くことを確認し、牛鬼、木魚達磨、リクオは違う部屋へ移動した
どうやら、カラス天狗も一緒のようだ
「サクラ様!」
『?あ、猩影…くんだっけ?』
「はい。その、親父のこと…ありがとうございました」
猩影はそう言って深々と頭を下げた
『気にしないで、私が助けたくて助けただけ。
私こそ、お礼言わなくちゃ。
今日の総会、はっきり言ってくれてありがとう。』
「いや、あれは…当然と言うか」
『きっと猩影は狒々を超える妖になれるわ、頑張ってね。』
「はい」
『まずはこの戦い、しっかり相手にお灸を据えないとね』
私がそう言うと猩影は頷いてくれた
『それじゃ、今日はゆっくりしていってね』
私は猩影と別れ、自室に戻る
『ふー…みんな自分が大事だもんね…』
リクオが最近何をしているのか
一体どれだけ頑張っているのか
それは誰も知らない
幹部達はその姿を見ないからああいう事が言える
『腹立つなぁ…』