第7章 四国八十八鬼夜行
それから数時間後には幹部が集まり、緊急総会が始まった
「浮世絵キネマ館、一番街の神社・仏閣…は一部のみ。
千田通り、旧街道トンネル…薬品工場跡地、通称おばけ城、廃校…4つ
えー…このように我らが奴良組のシマ「浮世絵町」は四国八十八鬼夜行を名乗る奴に侵攻を許し、大幹部「狒々」が退き各地で妖怪騒ぎを起こされ、大妖怪一家の鼻はあかされまくっているのです。以上、報告終わり。」
そういったのは一ッ目だった
幹部達がザワつく
「なんですかいこりゃー!」
「大敗北じゃないですか!」
「戦争なら奇襲受けて即白旗モンの被害じゃ!」
「ありえんのう!!」
「しかも…聞けば相手はけっこうな少数精鋭部隊だそーで」
「更に敵は若い狸の妖怪だとか!?」
「笑ってしまうのう…大妖怪一家が…さっさと片付けてしまえばよいのに…この状況!」
「一体誰が責任とるんじゃい!?…と、皆さんおっしゃりたいのでしょー!?」
最後にそう言ったのは一ッ目だ
リクオは複雑な顔をしていた
『…リクオは若頭に襲名したばかり、それに今は当主代理という立場よ。
責任なら、私が取るわ。
でも一言だけ…もっとしっかりしてくれるかしら?あなた達がもっとしっかりしてくれれば、ここまでの侵攻も無かったかもしれないわね?
ここで文句を言うだけなら、誰だってできるわよ。』
私がそう言うと全員が黙る
「姉さん…」
「そ、そう言えばあいつらは自分で味方の犬神を消したそうじゃないか」
「数も少ないのになんと愚かな…」
一部の幹部がそう言った
この締まらない状況…相手を舐めてるのが丸分かりだわ
そう思っていた時だった
「愚かはどちらか。
使えぬコマを見捨てる行為、それはいくらでも増援が見込めるから…ではないのか」
牛鬼がそう言うと幹部達が騒めく
「ぞ…増援!?はは、まさか…」
「まさかではない、戦力は多めに考えていた方がよい。
聞けば若く冷酷だが…野望に燃える男…血の気の多い妖怪はそういう男の元に集まるというものだ。」
『味方殺しは自信の顕れ、今出てきている者達は先鋒に過ぎない…ってところかしら。』
「ま…それだけ強烈な光の元に…強大なモノを作ろうとしたら…
より大きな…影も出来るでしょうがな…」
牛鬼はチラっとリクオを見た
「そうだろうね」
リクオはそう言って少し笑った