第7章 四国八十八鬼夜行
『仕方ない』
私は誰もいないことを確認し、式神を呼ぶ
『私の代わりに体育館へ行ってくれる?』
そう言うと式神はすうっと消えた
よし、これで大丈夫だ
私は校内をぐるっとまわり、職員室へと戻ろうとした
ズウウウン…
何か大きなものが倒れる音がした
どうやら体育館で何かあったらしい
『…ま、式神いるし大丈夫か』
後ろを振り向いた時だった
枯れ葉が目の前を舞う
枯れ葉の中から前に会った男が現れた
「こんにちは、サクラさん?」
『…よくわかったわね』
「わかるさ。狐の変化なんて簡単に見破れる」
『へえ…?』
「どうだい?ボクら四国八十八鬼夜行の後ろに並ばないかい?」
『私の事バカにしといてよく誘えるわね?もちろんお断りよ』
とびっきりの笑顔を作る
「それは残念だ。さて、ボクは"あっち"を見に行くとするかな」
男は体育館の方を見る
『お仲間は随分弱ってるようだけど?』
「知っているさ、所詮使い捨ての駒だ。」
『駒…ね』
「ああ、そうだ自己紹介を忘れていたね。
この姿だが…ボクは四国八十八鬼夜行を束ねる者、そして八百八狸の長を父に持つ者…妖怪・隠神刑部狸、名を…玉章」
『玉章ね、覚えといてあげるわ。』
「では、さらばなり」
玉章は再び枯れ葉に包まれる
枯れ葉が消える頃には玉章はいなくなっていた
『…狸のくせに』
私は少しイラッとした
それから少しすると式神が戻ってきた
式神が状況を教えてくれる
体育館に現れた四国の妖は犬神であること
そしてその犬神はリクオが倒した、ということ
それから夜雀が現れ、リクオと玉章が対面を果たした…と
式神を消し、リクオ達の妖気を辿る
どうやら屋上にいるらしい
『ま、いっか!』
私は職員室に戻る
職員室に戻り、先程とは違う式神を呼び出す
『記憶を消して』
私がいたという記憶、それをいなかった記憶へと変える術を使う
これは昨日水蛭子がこの学校の先生にかけた術と同じだ
1日だけだったけど、楽しかったな
ほんとに少しだけど…学校に来れて良かった
横谷先生、ありがとうございました
そう思いながら私は学校を後にした