第7章 四国八十八鬼夜行
成程…
『それでリクオ達は呪いの主を探しているわけね』
「情けない話です…。目の前の少女さえも救えないとは…」
リクオ達が呪いの主を倒してくれればいいんだけど
果たしてそれまでリクオの友達がもつかどうか…
『仕方ない…』
「?どちらへ…」
千羽がそう聞いてきた
『少しだけ、手助けを』
私はそう言い残し、病院へ入った
ぬらりひょんの畏を使いながらリクオの友達を探す
途中、車椅子のおばあさんとすれ違った
パタパタと慌ただしい足音が聞こえる
『ここかな?』
看護師さんの出入りが激しい病室に入る
どうやら正解らしい
リクオと同い年であろう女の子が苦しそうにしていた
看護師さん達が必死に治療にあたる
『袖モギの呪い…か』
そりゃ大変だわ、命あるだけ凄いわ
そんなことを思いながら私は術を展開する
展開する術は解呪、そして治癒
『道を開け、華よ開け、この者を癒せ。』
私が術を展開し終えると同時に横に千羽が現れた
『私ができるのはほんの少しの手助け…千羽、後は任せるわよ。』
「夏実、夏実…人の想いの大きさが私の力を強くする。
私自身が強いわけじゃない、神だから…ほんの少し後押しするだけだ」
千羽の周りをたくさんの折り鶴が舞う
「先生!!患者の脈拍がもどってます!!」
『よかった…』
ふと横を見ると既に千羽の姿は無かった
私も病院を出ることにした
病院を出て、ふと空を見上げると少しずつ明るくなってきていた
『もうこんな時間か…』
「姉貴」
後ろから聞こえた声
『リクオ』
「黒羽丸から聞いたが…手伝ってくれたんだってな」
『手伝いなんてほとんどしてないよ。』
「その割には疲れた顔してんぞ」
『そう?そんな事ないと思うけど…』
「してるよ、姉さん。家に戻ったらゆっくり休んでね」
ふと口調が変わった
ああ、朝だもんね
『ありがとう、リクオ。
リクオもゆっくり休んで欲しいところなんだけど…学校?』
「うん、学校行かないとね。」
『まあ、まずは家に帰って支度しないとね』
「そうだね」
他愛のない会話をしながら2人で歩いて屋敷に戻った