第6章 はじめましてと奴良組総会
「その代わり、牛鬼組の跡目候補で腹心の部下を本家あずかりにして、さらなる忠誠の証にしたいってさ!
ホント牛鬼はマジメだよ。」
迫ってくる一ツ目を押し返しながらそう話した
「甘すぎるわ!!」
一ツ目は納得がいかないらしい
「そう……?だって…牛鬼組を解散させちゃったら、その西側にいるっていう…妖怪達への防波堤がなくなっちゃうんじゃない?」
「う…ぐぅ…それはそうだが…」
一ツ目も流石にそれは分かっているようだ
「組を思うならそっちの方が問題だろ?
それに、牛鬼は約束してくれた。ボクがしっかりしてくれるなら、今まで以上に働いてくれるってね!!」
「そこが一番ダメな問題なんじゃろーがぁ!!」
「お…おい一ツ目…」
他の幹部が一ツ目を止めようとする
それを一ツ目は振り払った
「とめるんじゃねぇ!こんな奴、三代目にしておけるか!これじゃー組は弱くなる一方よ。愛国無罪か?
…逆に忠誠心うすくなるわ!!」
「一ツ目…」
鴆くんも一ツ目を止めようとしていた
「なんだあ!?若いの!!おめーはこんなガキを支持するっちゅうんかい!?
回りを見ろ、空気をよめ!!だれ一人…」
そこまで言って気付いたらしい
他の幹部達から自分が孤立していた事に
『…っふ…あっはは…あははははっ…』
突然聞こえた笑い声
「姉さん…?」
襖を開けて姉さんが入ってきた
『やるねえ、リクオ』
「なっ…」
一ツ目が姉さんを見て少し焦っていた
『一ツ目、あくまで組のためって言うのなら…リクオをためしてみてもいいわよ。
それとも、私が相手しましょうか?』
「うう…」
その一言に言葉を失う一ツ目
『ふふ…面白い反応してくれて助かるわ。冗談よ…さ、総会を続けて?』
そう言うと姉さんがボクの横に座った
木魚達磨とじいちゃんが目を合わせた
「みんな!!聞け!!奴良組規範第二条!!
"総大将の条件"により…若頭襲名をもって、正式にリクオ様を三代目候補とする!!
妖怪としての成人年齢!!"13歳"となるまでに他の候補があらわれなければ、あらためて奴良組三代目総大将となる!!
そして、この総会をもってサクラ様を総大将補佐に任命する!!」
『…へ?』