第6章 はじめましてと奴良組総会
サクラside
中から聞こえてくる声
「とめるんじゃねぇ!こんな奴、三代目にしておけるか!これじゃー組は弱くなる一方よ。愛国無罪か?
…逆に忠誠心うすくなるわ!!」
「一ツ目…」
鴆が一ツ目を止めようとしているらしい
隙間からこっそり中の様子を伺う
「なんだあ!?若いの!!おめーはこんなガキを支持するっちゅうんかい!?
回りを見ろ、空気をよめ!!だれ一人…」
そこまで言って一ツ目は気付いたらしい
他の幹部達から自分が孤立していた事に
『…っふ…あっはは…あははははっ…』
ダメだ、笑っちゃう
「姉さん…?」
襖を開けて私は部屋の中へ入った
『やるねえ、リクオ』
「なっ…」
一ツ目が私を見て少し焦っていた
『一ツ目、あくまで組のためって言うのなら…リクオをためしてみてもいいわよ。
それとも、私が相手しましょうか?』
「うう…」
その一言に言葉を失う一ツ目
『ふふ…面白い反応してくれて助かるわ。冗談よ…さ、総会を続けて?』
私はリクオの横に座る
木魚達磨とおじいちゃんが目を合わせた
「みんな!!聞け!!奴良組規範第二条!!
"総大将の条件"により…若頭襲名をもって、正式にリクオ様を三代目候補とする!!
妖怪としての成人年齢!!"13歳"となるまでに他の候補があらわれなければ、あらためて奴良組三代目総大将となる!!
そして、この総会をもってサクラ様を総大将補佐に任命する!!」
『…へ?』
総大将…補佐?
総大将補佐って…え?
横を見ればニコニコとしているリクオ
これは、事前に聞いてたやつだ…私以外…
ハッと気付いた時には総会も終わり、幹部たちが帰りはじめていた
『…おじいちゃん…?リクオ…?どういうことかしら…?』
「…えーっと…」
「なんじゃ、リクオ言っとらんかったのか」
「だって、言ったら姉さん逃げるもん」
「…確かにそうじゃの」
いや、二人で納得しないでよ
『…総大将…補佐…って何するの…?』
「そりゃー、補佐じゃろ。まあ、補佐と言ってもリクオが三代目を襲名するまでじゃがな。」
『え?』
「リクオが三代目を襲名したら…サクラ、お前も三代目になるんじゃ。」
『…はあぁ?!』