第6章 はじめましてと奴良組総会
着々と総会の用意が進んでいく
上座でおじいちゃんとリクオと三人で並び、ご飯を黙々と食べていく
誰が選んだのか、お赤飯が出てきていた
…狒々がいない
揃ってきていた面子を見てもやはり狒々がいなかった
狒々は奴良組の中でも古株の一人、総会を欠席するなんて有り得なかった
『…リクオ、おじいちゃん、ちょっと私抜けるね』
「え?」
私は急いで屋敷を出る
『おいで、銀狼!』
銀狼に乗り急いで全速力で狒々の屋敷へと向かう
『…っ!狒々…!』
屋敷に到着する前からわかる争いの匂い
屋敷はボロボロになっていた
慌てて私は屋敷の中へ入る
そこには仮面を割られ、床に倒れている狒々がいた
『狒々…どうして…』
狒々に近付き、手を握る
すると微かに脈打っていることに気づいた
『間に合って…』
治癒の力を使い、狒々の体内にある毒を取り除いていく
それと同時に傷を治す
「……っ……サクラ…か?」
『…よかった…狒々…気付くのが…来るのが遅くなってごめんなさい』
「泣くな…お主のおかげでワシは傷一つ残っておらん。
ありがとう、サクラ」
『…本当に良かった…でも、どうして狒々の屋敷が…』
「奴らは四国八十八鬼夜行と名乗っておった…」
『四国八十八鬼夜行…』
「そういえば、サクラ…総会はどうした?」
『あ…抜けてきたんだった』
「はよ戻らんか…!!」
狒々がわたわたしていた
『え、でも狒々を置いて行けな…』
「安心せえ、もう少しすれば息子の猩影も帰ってくる。それに、奴らはワシが死んだと思っておるじゃろうしな。」
『そうね…なら、報告も含めて総会に戻るわ。
気をつけてね、狒々』
「おう。お主こそ、気をつけるんじゃぞ」
私は狒々に見送られ、急いで奴良家に戻る
『あー…疲れた…』
屋敷に無事到着した途端疲れがどっと来た
ゆっくり歩いて総会の行われている部屋へ向かう
中からはザワザワとざわめく声が聞こえた
『うわー…入りにく…』
襖を少しだけ開けて中の様子を覗き見ていた
何やら中では一ツ目がリクオに迫っていた