第6章 はじめましてと奴良組総会
「それなりの覚悟はしている。しかし、なぜここに来たのだ…」
『んー?もしリクオが覚醒したならそりゃ牛鬼が丸め込まれるとは思ってたからね。
それに、治療も必要かなって』
「…そこまで、見越すことが出来たのか…」
『だってまだ挨拶出来てないとはいえ姉弟だからね…ある程度はわかるわよ』
「そうか。」
『さ、治療するわよ』
そう言って私は牛鬼に手をかざす
淡い光と共に牛鬼の傷が癒えていく
「!珱姫と鯉伴の力を…」
『継いでたみたい』
傷が完璧に治ったことを確認する
『治ったみたいね、良かった。』
「感謝する。これで私も動くことが出来る…」
『あまり無理をしないようにね』
私はそれだけ言い残し三羽鴉を呼んだ
そしてこの捩眼山で何があったのか全ての報告を聞き、指示を出した
『リクオの護衛と、ご学友が家に帰ったかどうかしっかり確認してね』
「「「はっ」」」
三羽鴉が飛び立つ
私は再び銀狼を呼び出し、一足先に本家に帰ることにした
カラス天狗に全ての報告を終え、自室へと戻る
もちろん、報告する時にリクオの意志については話してない
きっと、本人が話すと思ったから…
『ふわぁ……眠…』
布団に転がり、気付けば眠ってしまっていた
「サクラ様、サクラ様…」
『…ん……』
「起きてください…サクラ様…」
『なに……』
ゆさゆさと小刻みに揺すられ少しずつ意識が覚醒していく
『カラス天狗…?何してんの…?』
「リクオ様が戻られましたぞ」
『え…』
外を見ると既に夕方だった
『やっば…』
私は慌てて身だしなみを整える
「リクオ様には何とお伝えしましょうか」
『…リクオに会いたがってる妖がいる、今から少しだけ時間が欲しい。って伝えてくれる?』
「承知しました」
カラス天狗がパタパタと飛んで行った
『…牛鬼に会うって言っちゃったもんなあ…会わないとダメだよね…』
一人でウジウジしている時だった
「サクラ様、リクオ様がお呼びですぞ」
想定よりも早く…ってか絶対カラス天狗とばしてきただろ。って思うくらい早い返事が来た
『わかったわ、案内してくれる?』