第5章 奴良組
それから少し歩き、気付けば開けた道に出ていた
道に咲く桜がとても綺麗だ
「こっちだぜ」
そう言って化け猫が進む方角に大きな屋敷が見えてきた
懐かしい…
私は化け猫について行く
「ここだ、どうする?中まで案内してやろうか?」
『お願いしてもいいですか?』
「おうよ」
本っ当にこの化け猫親切!!
もう化け猫さんと呼ぼう
化け猫さんが中へ入っていく
すると、屋敷の方から数名の妖が出て来た
私の知らない妖だ…
私が幼い頃にいた妖はまだいるのだろうか
そんなことを思いながら出て来た妖を見ていた
「そちらは?」
出て来た妖の一人が化け猫さんに聞いていた
「ああ、何でも奴良組の傘下に入りたいとかで…」
『はじめまして、突然の訪問でごめんなさい。
私は…あ、そう、カラス天狗…さんに会いに来たんですけど…』
さすがに今名前を名乗るのはまずい気がする
「カラス天狗様だと?お前、名は?」
『その、事情があって…言えないというか…はは…』
まあこんな話し方してたら怪しまれますよね
でもそこは私の運が今日は良かった!!
たまたまカラス天狗が私の横を通りがかった
『!!あ!いた!!カラス天狗…さん!』
私の声に驚いたのかフヨフヨと飛んでいたカラス天狗がこちらに向かってきた
「どうした?良太猫、黒田坊」
「あ、カラス天狗様!いやちょっとこの女が…」
良太猫と黒田坊がカラス天狗に説明をしていた
カラス天狗はちらりとこちらを見ていた
『あの、もし良かったらなんですが…カラス天狗さんと二人でお話出来たらなー…と』
私がそう言うと黒田坊と呼ばれる妖が少し怪訝そうな顔をしていた
「初対面かつ、傘下でもない妖に…「構わん、中へ行きましょうか」」
カラス天狗が黒田坊の話を遮った
カラス天狗は中へと進んでいく
どうやら、ここで良太猫さんの案内は終わりみたいだ
『良太猫さん、ありがとうございました。』
「お、おう」
私はカラス天狗に続いて屋敷へと入った
…変わってない…
所々補修はされてるけど…全然変わってないや
カラス天狗について行きながらキョロキョロと屋敷の中を見ていた