第4章 記憶
『解除』
「っはっ…はっ…」
水蛭子が床に倒れ込む
『大丈夫?水蛭子』
「お前…容赦ねえな…」
「て言うか、サクラいつの間にそんな術使えるようになってたの?」
『?いや、何となくできるかなーってやってみた』
「…天才は違うねえ」
「嫌味か…?」
『違うって、自然が教えてくれるんだって。
次はどうしたい?ならこうしようって』
「意味不明だな」
「ボクらには分からない感覚だね」
『えー…』
そんな会話をしている時だった
一瞬、ほんの一瞬だが頭に冷たい痛みが走った
神経に直接氷を当てたような痛みだった
『痛っ…』
「?大丈夫か」
水蛭子が聞いてきた
『あ、うん。一瞬頭が痛かっただけよ』
「またもし痛くなったら吉平さんに言いなよ?」
有行も少し心配なのかそう言ってくれた
『ありがとう、二人共』
その日の夜の事だった
再びあの頭痛が襲ってきた
次は一瞬ではなくズキンズキンと痛みが続いていた
『……っ…』
今は夜中の三時…
駄目だ、頭痛すぎて寝れない
私は布団を頭まで被る
『お願い、治って…』
コンコンコン
扉を誰かがノックしてきた
『…はい?』
私の返事を聞き、入ってきたのはラフな格好をした吉平さんだった
『吉平さん…?』
「夜分遅くにすまないな。…随分顔色が悪いようだが」
『あ、その…頭が痛くて…』
「頭痛か…頭痛にもただの体調不良と重大な病気の二種類がある。
少し診ようか」
そう言って吉平さんが私の頭に手を当てた
「…サクラ」
『はい?』
「最近、何かおかしなことはなかったか。
例えば…陰陽術がやたらと使いやすくなったり…」
『あ…ありました。それに最近、やけに自然の声というか…なんて言うんでしょう、気の流れ?的なものもよく見えます』
「その疲労と…妖力が少し上がってきたのだろう。抑え込もうとしすぎているようだ」
『妖力が…?』
「お前は我々の中でも一番妖の血が濃い。それ故に力も我々よりも遥かに強い。
だからこそ、それを制御しようとしすぎているのだろう」
『…そうなんですね。少し、意識を変えてみようと思います。ありがとう、吉平さん』
「いや、構わない。
ああそうだ、ここに来た本題を伝えねばな」
『あ、そうでしたね。どうされましたか?』