第4章 記憶
それから数百年が経った頃…
サクラside
「おい、サクラ!」
『んー…何、水蛭子』
「今日はオレの相手をする日だろ!!
早く起きろ!!」
大きな声を出しながら入ってきたのは御門院水蛭子。御門院家の九代目当主だ
そう言って水蛭子は私の布団を剥ぎ取ってくる
『やだよ…まだお布団と仲良くするの…』
水蛭子から布団を奪い返し、もう一度眠ろうとした時だった
「あっそう。なら今日はオレの不戦勝だな!いやー、まさかサクラが勝負から逃げるなんてなー」
何とこの男は性格が悪いのか
不戦勝という言葉を聞いて私が黙っているとでも?
ええ、ええ。挑発に乗ってあげますよ。
『あーもう、仕方ないから相手してあげる!!
でも、着替えるからさすがに出てけ!!』
私は水蛭子を部屋からつまみ出した
少し急ぎめに支度を済ませ、部屋の扉を開けると扉の前で水蛭子は大人しく待っていた
『何だ、大人しくできるんじゃない。水蛭子』
「うっせぇ。さっさと修練場行くぞ」
修練場へと向かう最中、これまた面倒くさい男に出会った
「何してんのー?」
この何とも軽い男。名を安倍有行、御門院家の四代目当主だ。
『今から水蛭子と修行よ』
「え、おもしろそう。ついて行こーっと」
「ついて行くとか言って、結局混ざってくるんだろーが」
「えー、そんな事しないよ」
『「いーや、するね」』
「わー、二人してひどーい」
心にも思ってないような棒読みで有行はそう言った
修練場に着き、お互いがウォーミングアップを終える
「さーて、今日もやりますか」
『今日こそ私に勝てたらいいね、水蛭子』
「うっせえ!」
そう言って殴りかかってくる水蛭子
流石に、いつもの手は通じないか
『木よ、彼の者を捕らえよ』
どこからか木が生えてくる
そしてその木が水蛭子を目掛けて伸びていく
だが、水蛭子に木は焼かれる
何と言っても水蛭子の体は五行で出来ている
もちろんその中には火も含まれている
木はいつの間にか燃やされていた
『やっぱり、自然系は相性悪いなあ…』
そんなことを言いながら私は次の術の用意をする
「おらおら、いつもならこんなもんじゃねえだろ!」
『そうね。彼の者を覆う空気よ、酸素を奪え』
「っ…!あ…!」