第11章 いざ、京都へ
リクオが白蔵主に向かって歩いていく
「オレが大将だ…
この京に羽衣狐を倒しに来た。ここを通らせてもらうぜ。」
「……ずいぶん若い大将だな…。
ぬらりひょんではないのか…?」
リクオが刀を構える
「成程…よかろう!!
この白蔵主が相手になろう。坂東妖怪の心意気…見せてみよ!!
お主、名を名乗れ!!」
「奴良組若頭、ぬらりひょんの孫…奴良リクオ!」
「一つ訊こう、なにゆえ名乗り出た。
名乗れとは言ったが…これまで拙僧の力を見て名乗り出てきた者は…おのれの力もわからぬバカ者だけだ。
奴良組の若い大将は力の差がわからなんだか!!」
白蔵主が武器を構え、畏を放つ
「あんたも…バカじゃねーか。」
「ん…」
「何も言わずに船を落としゃいいものを…だからバカ正直にはバカ正直で応えたくなったんだよ。
それと、邪魔する奴は斬って進まなきゃならねぇからな」
「ほう…士道をわきまえ、且つ威勢のいいクソガキだ。」
お互いが畏を放ち、武器を混じえる
白蔵主のせいで船が破壊されていく
力技にも程がある…
リクオが白蔵主の技を避ける
傍から見れば避けるのに必死で頭から落ちていくリクオ
「正々堂々とやっていても…"卑怯だ"と思われる程の力…それがこの白蔵主の"槍(だきに)"だ。」
あ、あれ槍であってたんだ
「"畏"のあまり心の臓も止まり、頭から落ちようとしているぞ…小僧。」
白蔵主がリクオの頭に向けて槍を突き刺した
まぁ、"傍から見れば"なんだけどね
「ヒッ…リ…リクオ様!?」
「フン…呑まれれば一突き、この槍の名こそ"荼枳尼"!!」
白蔵主がそう言った時、リクオの姿が揺れる
「なるほどな、これが…畏をまとった者同士の戦い…か」
少しズレた欄干にリクオが現れる
「!?リクオ……様!?」
首無が驚いていた
「"妖怪のくせにビビっちゃいかん"、大昔…じじいがそう言ってた、本当の意味がわかったよ。」
そう言いながらニヤリと笑うリクオ
「ど…どういう…ことだ…!?
さっきも…たしか私の手からすりぬけて…」
「へへー!常州の弦殺師首無!オイラーがリクオの畏おしえてやるよー!」
雨造が嬉しそうにそう言った