第10章 奥州遠野一家
ふと赤河童の方を見ると赤河童の膝の上に座るリクオ
赤河童の盃に酒を注いでいた
「む」
「世話になりやした、これにて失礼。」
リクオはそう言うとスタスタと広間を出て行ってしまった
『……ハハハハ…やるねぇ、リクオ』
ギロッ
一斉に妖達に睨まれる
『ぜーんぶ言われちゃった。
皆さん、姉弟共々大変お世話になりました。』
「…あんたは父親のこと知ってたのかい」
『…ええ、全て知ってますよ。誰にもその話はしてませんが』
「あんたは…いや、聞かないでおこうか」
『ニコッ))…その方が賢明かと思います。
では、リクオを追いかけないとなので失礼致します。』
私も広間を後にした
『リクオ!』
リクオを追いかける
「ウー…寒い、夏なのに」
『確かに寒いわね』
ふと空を見ると明るくなり始めていた
いつの間にか朝になっていたらしい
ヒュン…
何かが飛んでくる気配がした
私とリクオは飛んできたものをキャッチする
「祢々切丸!」
遠野に預けられていた刀が返ってきた
飛んできた方向を見ると二人のなまはげがこちらを見ていた
「この里を出てゆくときに戻せと言われてたの…すっかり忘れてたが〜」
「なまはげ…」
「礼を言うなら今のうちだが」
「さっそく雑用おしつけられちゃったわ…ワシら」
「ああ…今までありがとうな」
リクオがお礼を言った時だった
「リクオ」
なまはげの後ろから声がした
「オレたちは誰とも盃は交わさねぇが、それでも力が足んねぇお願いします助けてください!!ってことだったら…考えてやっても…」
声の主は淡島らしい
「ああ!!頼む!!」
なんとも潔い返事だろうか
迷う事なくリクオは返事をした
淡島も驚いたらしくバランスを崩す
「え?」
「京都の妖はそうとう強ぇみたいだ…オレは戦力がほしい!!
おめーらがオレの百鬼に加わりゃ最高だ!」
リクオがそう答えることを予想していなかったのか、淡島、冷麗、紫、土彦、雨造がヒソヒソと話す
「ほら、どーすんだ。さっさとしたくしな。
行くぜ?」
「え?なんで立場逆転してんのー!?」
「……イタクは来てねーか」
リクオがポツリと呟いた