第10章 奥州遠野一家
赤河童達のいる大きな屋敷に向かう
この時間は遠野の里のメンバー全員が夕飯を食べてる頃だ
私はリクオと共に屋敷の大広間へ入る
もちろん、鏡花水月を発動しながら
スタスタと中央を歩く
「邪魔するぜ」
リクオがそう言うと広間にいた妖達が驚く
「リクオ!?それにサクラまで?!」
「なんだ?どっから入ってきた?」
「……てっきり勝手に出ていくものだと思っていた。死んでないってことは…多少は強くなったんだろ?」
赤河童がリクオにそう尋ねる
「多少な」
そう言いながら細い河童は鼻で笑った
リクオは座り、手を着く
「短い間でしたが遠野の皆様方には昨今駆け出しのこの私の為に稽古をつけてくれたこと、厚く御礼申し上げたい。」
広間が静まる
「律義に挨拶しに来るとはな。「遠野」とうまくやる為に教え込まれた処世術かい?
ハハハ…じいさんの英雄譚ばかり聞かされているだろうに。実際は先代を失ってからの奴良組は弱体化の一途を辿っているのにな…お前達は何も知らんか。」
赤河童がそう言った
「八年前、目の前で親父が殺された時…オレは恐らく羽衣狐に会っている。」
広間がざわつく
…その現場に私もいたけどね…
「あの時を境に奴良組は弱体化し、逆に関西妖怪が勢力を伸ばし始めた。
この因果が偶然じゃねえとしたら親父を殺ったのは羽衣狐だ。
だからあの女にもう一度会いにオレは京都へ行く。この深い因縁を断ち切るために!!」
「四百年前の主…羽衣狐が親の敵、奴良組の若頭が老いた総大将にかわり妖の主を争うか、おもしろい!!」
「見ものじゃな!!妖の主をめぐる一大決戦!!この遠野で高みの見物とまいろう!!」
広間にいる妖達が一斉に笑い、声を上げる
「なんだ?こん中にオレが魑魅魍魎の主となる瞬間を、一番近くで見てぇ奴は誰もいねぇのか?
こんな山奥でえらそーにしててもそれこそお山の大将だ。京都についてくる度胸のある奴はいねぇのかって聞いてんだ。」
リクオがそう言うと妖達が立ち上がり、リクオに罵声を浴びせる
それと同時に河童犬がリクオに襲いかかった
ぬらり
もちろん、鏡花水月でリクオはそれを躱した