第8章 始まりの始まり
「武田先生、俺からも今日は本当にありがとうございました」
「いやいや、澤村くんもみんなもおつかれさま!
あの青葉城西高校に勝っちゃうなんて、僕びっくりしたよ!」
「もありがとうな。今日も的確な指示だった」
『いえ、それに関してなんですが一つお話があって
技術的な面を指導することはできますが、試合の作戦を組むと言った時に男性目線での意見も欲しいんです。
同じバレーボールといえど、やはり男子バレーと女子バレーの世界は少し違いますので。
だから一人、私が声をかけてみてもいいですか?
監督として招き入れたい人が一人いるんです』
の言葉を聞き一度顔を見合わせた武田と澤村だったが、うん、構わないよ。頼んだ。とそれぞれ答えた。
影山と日向と田中とは今日も学校帰りに坂ノ下商店に寄った。
「えーーー腹減ったー!」
肉まんはもう売り切れたと繋心から言い渡された日向はお腹を抱えて駄々をこねる。
「職務怠慢だ!」
『しょっちゅう買ってるんだからお得意様として優遇しろ!』
と、日向に便乗してわめく田中と。
「うっるせえ!さっさと帰ってちゃんとした飯を食え!筋肉つかねえぞ!」
そう言いつつもグングンバーを皆に投げて渡してくる繋心くんはやっぱり優しいなとは思った。