第8章 始まりの始まり
挨拶を終えた皆がベンチへ集まってくる。
お願いしあーす!
という言葉を聞いて、が口を開く。
『まずはお疲れ様とおめでとうございます!
この試合の目的であった翔陽と飛雄の超速攻がどのくらい通用するかというのは見て分かったと思います。
あのスピードとコートいっぱいを使う速攻はいくら強豪校でもなかなかできることではない。
そのおかげで他のスパイカーも本領を発揮することができたと思います。
ただ、スパイクに行くまでにレシーブは必ず通る道です。その守備力がうちは圧倒的に弱い。
明日からは守備力に重きを置いた練習をしていきます。
それからサーブも。サーブは1番手っ取り早く点を取る方法です。サーブで点を取ることで流れを自分たち側に引き寄せることも可能です。だから個人個人のサーブの技術をもっと磨く必要があります。
今日練習メニューを組むので明日からは弱いところを平均以上に上げつつ、強みである攻撃力にさらに磨きをかける練習をしていきましょう』
「「「おっす!!!!」」」
皆が今度は武田の方を向く。
「先生、何か好評とか」
と菅原が武田を促す。
「あ、ああ。そうか。
えーと、僕はまだバレーに関しては素人だけど何かすごいことが起こっているんだということはわかったよ。
今年度になって新しい1年生とトレーナーが入ってきて、一筋縄ではいかなかったけど、バラバラだったらなんてことない1人と1人が出会うことですごい科学変化を起こす。
きっとこれから、君たちは強く強くなるんだな」
皆静かな顔で武田を見つめる。
「ご、ごめん!!ちょっとポエミーだった?引いた!?」
「あ!いや、そんなことないです!あざす!」
澤村の声に皆も頭を下げる。