第8章 始まりの始まり
キャーーーー!
3セット目の途中、女子たちの歓声とともに及川がコートに入ってくる。
そして早速、及川のサーブだ。
「いくら攻撃力が高くてもさ、その攻撃まで繋げないと意味ないんだよ」
そういうと月島めがけて強烈なスパイクサーブを打った。
落下地点に入りきれず月島が弾いたサーブが観客席の方へと飛ぶ。
「影山の威力に加えてあのコントロール力...なんてやつだ」
『ただ人物を狙うだけじゃなくてその人の中心より数センチずらして打つことで弾かせてる。
数センチ単位でコントロールしてますね、彼』
菅原の言葉に、も眉を顰める。
(どうにかして切らなければ...)
『蛍はもう2歩ライト側に!澤村先輩が広めに守ってください!
それから全体的に一歩下がって!』
の指示を聞き皆が即座に移動する。
「それでも、あいつなら月島を狙えるんじゃ...」
菅原の意見には頷くが、
『たとえそうだとしても、あそこまで端を狙うには多少威力を落とさなければいけないはず。それなら蛍にも取れる可能性が上がります』
「...なるほど」
「ふうん、俺のサーブ2本見ただけであそこまで判断できるか。
さすがだなちゃん。ますますうちに欲しいな」
及川はそう小さく呟くと再びサーブの構えに入る。
予想通り先ほどより僅かに威力が弱まったサーブが月島の正面に来て、今度は弾かずに上がったが青城コートにチャンスボールとして入ってしまう。
しかし、チャンスボールから金田一が打ったボールは食らいついた日向の手に当たり烏野のチャンスボールとなる。
ブロックから着地した瞬間レフト側へと走り出した日向の手元に影山のトスがピンポイントに上がり、超速攻が決まった。
今回の速攻も青城の誰も反応することができなかった。
『よーーーしっ!!!!』
の声でハッとした烏野が皆よっしゃー!と声を上げ始めた。