第8章 始まりの始まり
「足はどうだった?」
「バッチリです。もう通常練習もいけます。軽い捻挫でしたしね」
入畑に及川はさわやかな笑顔を浮かべてそう答えた。
キャーー及川さーん!と歓声をあげる観客の方に手を振る及川を見た田中がすごい形相で、影山くんあの優男誰ですか?とても不愉快ですと言い出した。
「あれが青城の主将だ」
澤村が答えた。
「超攻撃的セッターで、その攻撃力はチームでもトップクラスだと思います。あとすごく性格が悪い」
影山も補足するように答えた。
「北川第一のやつかよ」
「はい、中学の先輩です」
「やっほー。飛雄ちゃん久しぶり」
振り返った及川が爽やかな笑顔を崩さず手を振った。
嵐の前の静けさのような雰囲気だ、とは思った。