第8章 始まりの始まり
「金田一、言ってた話と違うじゃねえか」
「俺だってあんなの初めて見て!影山の無茶振りトスに合わせられるスパイカーがいるなんて」
タイムアウトが入り、青城側のベンチに集まった選手たちが口々に言う。
「それは違うな。あの5番は全くボールを見ていないように見える。影山が振り下ろされる手のひらピンポイントにボールを合わせているんだ」
監督の入畑の言葉に選手たちは皆唾を飲む。
「そんなこと可能なのか」
「その方法を考え出したのはおそらくあの少女だろうな」
入畑はそう言いながら、改善点を言い終えチームメイトと戯れるに視線を移した。
「やはりあの子はただの元プレーヤーからトレーナーになった少女ではない。
幼い頃からのプレーヤーとしての経験、バレーボールセンス、努力が並ではない」
あの子がいる今年の烏野は警戒すべきか、と入畑は思った。
「それに、あの5番も100%影山のトスを信じて思い切り飛んでいる。それも恐ろしい事実だ。
ただ、うちだって今出せるベストメンバーなんだ!プライド見せろよ!」
「「「はい!!」」」