第6章 賑やかな烏たちと
『バレーを本気で好きで、バレーのことしか考えられなくなるくらい熱中する人の気持ちを、私は誰よりも知ってるから。
だからそうじゃない人もすぐにわかるよ』
確信をつかれたような気がした月島はから目線を逸らし吐き捨てる。
「じゃあそういうあんたは、なんでプレーヤーやってないのさ」
『中学最後の試合で、靭帯を損傷してもうスポーツはできないって医者に言われたの。
でも私自他共に認めるバレーバカだから!バレーから離れた生活とか無理だ!!!!って思って。
教える側として、バレーボールに携わることき決めたの。
私はただ技術を教えるだけじゃなくて、バレーボールの楽しさも喜びも全て教える』
「それって押し付けじゃないの」
と月島に言われるが、は即答した。
『そうだよ。
押し付けだよ。バレーは楽しいものだから知ってください。バレーを好きになってください。常にそう思いながら教えてる。
あわよくば私の分もたくさん飛んで、拾って、打って、戦ってくださいって』
「、っ」
あまりにまっすぐな目で言葉で、声でいうものだから思わず月島はたじろいだ。
『でもその押し付けがいつかきっかけになればいいとも思ってる。
私の押し付けはただのきっかけ。
そのあとに自分で楽しみを喜びを、幸せを見つけて、バレーにハマる瞬間を見つけてくれれば、それはもう最高だよ!
指導者としては最高!!!!』
さっきの大人びたまっすぐな瞳から、急に無邪気な笑顔になって楽しそうには話す。
『だから、私はツッキーにバレーボールって楽しいって絶対言わせるから!以上!!!!
じゃあね!ツッキー!山口!』
「いつのまにかツッキー、山口って呼んでるし」
拍子抜けした表情で山口がぽろっとつぶやく。
「なんなんだよあいつ。」
そう言いながらも心の隅に楽しみという感情が現れたことに、月島は気づかないふりをして帰路についた。