第6章 賑やかな烏たちと
なんなんだこいつら、落ち着け。という意味を込めてハァと軽くため息をついた月島は、また作ったような笑顔になり
「そんなキバんないでさ、明るく楽しくほどほどにやろうよ。
たかが部活なんだからさ。じゃあまたね。」
「結局お前らなんなんだよ!」
「1年4組月島蛍」
「俺は山口忠」
今日からチームメイトだよ、あ、今は敵だけど、と付け加えて二人は去っていく。
「なんだよ、感じ悪いやつ!」
と怒る日向に、ごめん!練習続けるなら続けてて!といいは2人の跡を追う。
「おい!」と影山の呼び止める声がの耳には入ったが、今すぐ話さなければと思った。
『月島くん!待って!』
の声に驚いた2人が歩くのをやめこちらを見た。
『はあ〜、体鈍ってるなあ。あと2人足長いから、歩いてるのにめちゃ速いんだもん!』
ハアハアと苦しそうに膝に手をついて息を整えるを怪訝そうに月島は見下ろした。
「わざわざ追いかけてきてまで何なの」
『月島くん、明るく楽しくって言ったけどそれって自分に対しての言葉?』
思わぬ質問に、は?、と月島は表情を固めた。
『それからイライラしてたのは月島くんが負けず嫌いだから?』
「なんなの。わかったようなこと急に言い出して」
と少しイラつき始めた月島と、怯むことなく話を続けるに山口は慌て始める。
『今日の練習中のミニゲーム見てても、明るく楽しそうにやってるようには見えなかった。
バレーが嫌いなわけじゃなくて、バレーに熱中することを避けてるみたいで。
たかが部活って、それ自分に無理やり言ってるの?』
声のトーンとはあまりにも違うまっすぐな目と真剣な表情に、月島と山口は言葉が出なくなる。
「...なんで、そう思うわけ。」
なんとか絞り出した月島の声は少し掠れていた。