第6章 賑やかな烏たちと
「あ、そう?」
日向の暑さと反対に、冷静な表情で月島は言った。
「え?」
思わず拍子抜けした日向が素っ頓狂な声を出す。
「君らには重要な試合なのか知らないけど、こっちにとっては別にって感じなんだよね」
怪訝そうな表情の日向をよそに月島は続ける。
「勝敗に拘りないし、君らが勝たないと困るなら
手、抜いてあげようか?」
その言葉に日向は顔を赤くするほど怒った。
なんであろうと俺が勝つのに変わりはねえ、と影山も静かに怒りをあらわにする。
そんな中、は月島の言葉に一人首を傾げていた。
「ははっ、さすがコート上の王様」
月島の言葉に、影山はあぁ?と低い声で聞き返す。
「ほんとだったんだ。王様って呼ぶとキレるって噂。」
どんどんギスギスしていく雰囲気の中、影山がガッと月島の胸ぐらを掴む。
『ちょ、ちょっと!影山!服が伸びるでしょって!物は大事に!』
「だからそこ!?」
とツッコむ日向の声は焦ったの耳には届かない。
パッと胸ぐらから手を離し、影山は切り上げるぞ、といい荷物を持って足を進め始めた。
「逃げんの?土曜の試合も王様相手に勝っちゃったりして〜?」
追い討ちをかけるように煽る月島にいい加減一言言わなければと思い、が月島の方を向くと、
バッ
身長からは考えられない高さまで飛んだ日向が月島の手からボールを奪い取った。
『お〜、飛ぶう』
あっけに取られる月島と山口に向かい直って、
「王様王様ってうるせえ!
おれもいる!試合でその頭の上打ち抜いてやる!」
「...は?」とギロリ月島に睨まれた日向は突然蛇に睨まれた蛙状態になり、後ずさる。
『いや、そこまで言ったなら最後まで強がんなよ!!』
「う、うるせえ!だってこの目つき!怖すぎだろ!」
『え、どれどれ?わ!こわ!』
わざわざ月島の目の前に回り込み、瞳を見つめたはひっ!と後ずさる。