第4章 食肉類から猛禽類へ
「「トレーナー!?」」
表に出ている2人は揃ってを見開いた目で見つめる。
「なになに!トレーナーってなに!」
と、さらに穏やかそうな顔の灰色の髪をした少年が扉の狭い隙間を縫って出てくる。
「え!うちにトレーナーが来るんすか!」
坊主頭の少年も同じように出てくるがを見て、ハッと固まる。
「か、か、かわいい!!!!くそう、潔子さんという存在が俺にはあるというのに...!」
の周りを皆が囲んでいく。
「お、おい。一旦落ち着け。お前ら。トレーナー?男子バレーボール部にか?」
『はい。もう一度烏が飛び立つ手助けをさせてください。
目指せ、全国優勝です!』
「「!!」」
(この言葉...あの人と同じだ)
目指せ、全国優勝!誰もが信じない中、そう言い続けたかつての主将を3年2人は思い出していた。
『一繋さんにも、烏野を頼むと言われてきています』
「一繋って、あの烏養さんか!?」
と坊主頭の少年に聞かれて、ははいと頷く。
「わかった。とりあえず中に入ってもらおう。
その前に
影山、本音は?」
「う…うう…。
試合で今のこいつと協力するくらいなら、レシーブもスパイクとトスも全部俺1人でやれればいいのにって思ってます。」
「何言ってんだよお前!」
『ほんと何言ってるんだ?影山くん?だっけ?
1人が続けて2度触るのはできないんだよバレーボールは』
「知ってるわ!!!!」
「その通りだ。ボールを落としちゃダメ、持ってもダメ、1人が続けて触るのもだめなバレーボールでどうやって1人で戦うの?」
「、っ」
は答えに詰まった彼から視線を外して、じゃあ金烏さんはこっちねと手を引かれて体育館内に入った。