第4章 食肉類から猛禽類へ
「主将の澤村大地だ。突然見苦しいところを見せて悪かった。
それで?トレーナーというのは?」
『今の烏野には指導者はいないと聞きました。
私なんてまだまだ指導者としては初心者だし、おこがましい話ですが、中学バレーを引退したときから、烏野高校で指導者としてバレーに携わると決めて勉強してきました。』
「どうして自分でプレーしないんだ?」
と目の前の坊主頭の少年に聞かれる。
『中学まではプレーヤーでした。
ただ、試合中の事故で膝の靭帯を損傷してしまって。日常生活には支障はほぼありませんが、もうスポーツはできません。』
「わ、わるい」
と、気まずそうに視線を逸らすものだから思わずがクスッと笑ってしまうと、顔を赤くする彼。
『別に悪いなんて思わなくていいです。
プレーヤーじゃなくともいくらでもバレーボールと関わることはできる。その選択肢の一つがバレーボールを教える側になるってことだったんです。』
「でもなぜうちに?」
あ、澤村と同じく3年の菅原だ。と手短な自己紹介を付け加え、菅原は質問した。
『幼い頃から、一繋さんがあまりに楽しそうに烏野高校にバレーボールを教えにいくものだから...』
「君は烏養監督と知り合いなのか?」
質問したいことが山積みだ、まだまだ質問したりないと言っているかのような表情で菅原が尋ねる。
『はい。幼い頃からずっと一繋さんにバレーボールを教わってきました。』
「な!すげえじゃん!!どこ中出身なんだ?」
あ、悪い俺も自己紹介が遅れたな。2年の田中龍之介先輩だ!と自ら先輩をつけて自己紹介されたが、はよろしくお願いしますとだけ返して質問に答える。
『豹紋中学校の主将を務めていました。』
「豹紋って!女子バレーの強豪校じゃねえか!」
「金烏さんの年代は確か全国4位だったはずだよね」
「今年の一年はすごい奴が集まったもんだなあ」
と口々に感想を言われ、は少し顔を赤らめた。