第10章 烏野、完全体へ
「な、なんなんだよあいつ...」
眉をピクピクさせながら田中がそういうと、近くにいた繋心が口を開いた。
「なんだお前ら、あいつの試合生で見たことないのか?」
「僕らの学年はの名前聞いたことない人なんてほぼいなかったけど、実際に試合見たことはないです。
女子バレーだったし」
月島がストレッチを再開しながらそう告げた。
「あいつ、中1のとき既に総体でレギュラーメンバーだったんだが、その年の地域予選、
2セットで42点もあいつがサービスエース取ったこともあったぞ。」
そう繋心が言うと、
「42点!?」
「1年で!?」
「上手いのは知ってたけど、」
「化けもんかよ...」
と口々に言いながら皆身震いした。
「確かの半径4m以内に打たれたボールは絶対にコートに落ちないって
中学の時同じクラスの女バレの子が言ってたの聞いたことある...」
山口がぽつりと呟くと、
「あり得そうって思わず思ってしまったことが何よりも怖えよ...」
と菅原が顔を青くした。
普段ののほほんぶりからは想像できない化け物っぷりに皆顔を引き攣らせた。