第10章 烏野、完全体へ
ピピーッ
結果は、町内会チームの勝利でゲームは終了した。
皆がコート外でクールダウンをする中、
繋心に必死に頼み込みなんとか許可をもらったが嶋田とコートに入った。
『じゃあ5本先取ね。先にサービスエース5本取られた方が肉まん奢り!』
「お前、日向にも奢ってもらうんだろ」
『私は日向からは1個しか奢ってもらえないもーん』
「張り合うとこおかしいデショ」
影山と月島とそんなやりとりをしながら、はコート内で準備体操をする。
「じゃあジャンケンで勝った俺がまずサーブな」
『おっけ〜い』
「おい、無理すんなよ」
『分かってるって、過保護兄ちゃん』
「誰が兄ちゃんだ」
「過保護の自覚はあるんだな」
ピーッ
繋心が吹いた笛の音を合図に嶋田がサーブの構えをする。
ヒュッ バシッ
先ほど通り無回転なことにより、不規則に変化するボールがのコートへと入ってくる。
が、
パシッ
「んなっ!」
思わず烏野の皆がクールダウンのストレッチを止めてしまうほど、まるで無回転なんてなんともありませんというかのように安定した形ではレシーブを上げた。
「やっぱりにはもう俺のサーブは効かないかあ」
『へへんっ!でも現役並みに威力も変化もすごかったよ、まこっちゃん!』
が、ネット越しに拳を突き出すと、嶋田も同じように拳を突き出しコツンとぶつけた。
『じゃあ次は私がサーブの番ね!行くよ〜』
間の抜けたような声とは裏腹に、ビュンと高くあがったボールに向かって素早くステップを踏むとは思い切りスパイクサーブを打った。
「、くっ」
なんとか嶋田は手にこそ当てたものの、威力に負け思い切り弾いてしまった。
『やった〜まずは1点!』
コート内で飛び跳ねて喜ぶの姿を見て烏野バレー部のメンツは皆顔を引き攣らせていた。