第10章 烏野、完全体へ
ピーッ
町内会チームの嶋田がサーブの番になる。
「そろそろおっさんも本気出しちゃうよ〜」
そう言いながら嶋田はジャンプフローターの構えを取る。
『え〜!まこっちゃんのジャンフロ!待ってました〜!』
嶋田が打ったサーブは変化して日向の数歩前へと落ちる。
『さすがまこっちゃん!ねえそのサーブあとで私にも打って!拾いたい!』
「いいぞ〜!じゃあこのゲーム終わったら、」
「ダメだ!お前また膝痛めんぞ!」
『え〜!繋心くんのケチ!いいじゃん一本くらい!』
「お前の一本だけほど信憑性のない言葉はねえんだよ」
「まあ過保護兄ちゃんがそういうなら無理だな」
『まこっちゃんまで!』
ブーブーと口を尖らせて繋心と嶋田に抗議するの横で武田が首を傾げた。
「今のそんなに威力のあるサーブには見えませんでしたけど...」
『今のは無回転サーブですよ。
無回転であると空気抵抗を受けやすいんです。
そうするとボールのスピードが落ちてきた時に体育館内の微妙な気流とか、その時その時のボールの表面の影響によって、急に前に落ちたり横に動いたりするんです。』
「な、なるほど。魔球みたいでかっこいいですね!」
『でしょ!まこっちゃんは無回転サーブ超上手ですからね〜。私のサーブの師匠ですよ!』
その後も嶋田の無回転サーブにより立て続けに町内会チームに得点が入る。
「レシーブがまだまだだな、特に一二年。」
繋心の言葉にも眉を顰めながら頷く。
『無回転サーブは予測が難しいから、基礎をっていうよりかは経験を積ませないとなんだけど、
なんといっても練習試合組むのにも苦戦してて...』
「なるほどな」