第10章 烏野、完全体へ
「おい、。何考えてんだ。
速攻はあくまで予測不能だから有効なんだろ。手の内晒して真っ向勝負なんて、あのちんちくりんに勝ち目ないだろ」
繋心がコートに目を向けたままにそう言う。
『...それでも勝てたら』
「あ?」
『手の内晒して真っ向勝負しても翔陽が勝てたら、身長なんて関係ないよって証明できるよね?』
「もし奇跡でも起こって、そんなことができたらな」
『できるよ』
「いや、いくらなんでも、」
『できる。
あの二人なら、できる』
コートからへと視線を移した繋心はあまりにまっすぐな視線と少しの疑いもないの表情に慄いた。
(久しぶりに見たな、の本気モードの顔)
ピーッという笛の音で、町内会チームからサーブが放たれる。
「オーライ」
縁下が上げたボールはしっかり影山の手元へと上がる。
相手コートでは前衛3人が日向をマークしブロックの体制に入る。
「かわせ!それ以外にできることあんのかボケ!」
その言葉にハッとした日向はライトからレフトへと走り出すが、相手のブロックもしがみついてくる。
が、日向はそこから再びライトへと走り出した。
ポスッ ダンッ
影山が上げたトスは日向の掌にしっかりと当たり、見事相手チームのコートへと落ちた。