第10章 烏野、完全体へ
繋心は改めて、一人ひとりを分析し始めた。
すると急にハハッと笑い、
「いいじゃねえか、今の烏野!
なんだよもっと早く言えよ〜!」
『なっ!とにかくやだとか、なんかやだとか小学生より非論理的な断り方で私の話一方的に聞かなかったのどこの誰?!』
「まあたしかに速攻はすごいけど、ブロックはどうだ?」
繋心が疑いの目を向けるが、対照的には思わず微笑んだ。
『ふふっ、翔陽目がすんごいキラキラしてるね』
「日向くんにとっては現エースとの直接対決ですもんね!」
と武田が目を合わせて笑う。
「どういうことだ?」
『翔陽はあの小さな巨人に憧れて烏野に来たんだよ。
あの時の小さな巨人のようにエースになりたいんだって。
だから今の烏野でエースと呼ばれ、皆に信頼されてる東峰先輩をマークすることですら、
翔陽にとっては夢への第一歩ってこと』
「ほお〜、面白えじゃねえか!」
菅原が東峰に向かってトスをあげる。
東峰は日向のブロックの方へと打ち込もうとする、
が、日向もそれ以上の跳力で食らいつく。
東峰のボールに触れたものの、ワンタッチしたボールは大きな弧を描いてコートの外へと飛んでいってしまった。
「...すみません!」
「ドンマイドンマイ!」