第10章 烏野、完全体へ
ピーという笛とともに、再びゲームが再開する。
は一人ひとりの課題点を再びノートに取り始めた。
が、突然ノートを書く手を止めると目線はコートのままで手だけ繋心の袖を掴んで引っ張った。
『......来る』
「あ?」
シュバッ
目にも止まらぬ速さで、2人の超速攻が決まった。
思わず唖然とする繋心の顔をは覗き込んだ。
『繋心くん、繋心くん。
今日私が1番見せたかったのはこれだよ。
落ちた強豪、飛べないカラス。そう呼ばれる前と後を私はよく知らないけど、この攻撃がある今の烏野は這い上がることができると思うよ』
「.....い、いや、そうかもしれないけど、
でも、今なんでそこに飛んでた!ちんちくりん!」
『あー!ちょっと繋心くん!翔陽だよ!
ネーミングセンスないんだから、あだ名つけようとするのやめてよね!』
「いや俺はネーミングセンスあるだろ!」
「おい、のツッコミに合わせてたら日暮れんぞ!」
のペースに巻き込まれかけた繋心を嶋田が慌てて止める。
「で、どうなんだ!」
「あ、ど...どこにいても、トスが来るから、です」
『...翔陽がトスを見ずに跳んでたの、もう気づいちゃった...?』
「...ああ。どういうことだ。
まるでこの一年セッターがちんちくりんの動きにトスを合わせたみてえで...」