第10章 烏野、完全体へ
『東峰先輩、
このボールはいやでも素直になってしまうボールです。
だから、このボールを持ったら絶対に本音を言ってしまいます。
いいですね?』
「えっ?」
『私はほんとうはすごく悔しいです。
バレーを始めた幼い頃からずっと、思い描く何十年後の将来の私はいつだってバレーボールをしてました。
どこまでもボールを拾うために走って、転がって。
あるいは、誰かがあげたボールを自分はたとえどんな体制になっても必死にあげて。
もしくは、思い切り助走をつけて、目一杯の力で高くまで飛んでみんなが繋いだボールを打つ。
そんな姿です。』
の言葉に、彼女を幼い頃から知っている繋心含むチーム烏野町内会の皆は表情を歪めた。
『でも怪我をして、2度とバレーができないことになって、私の将来は真っ暗になって。
隠してたけど本当は、
苦しくて悔しくて仕方ない』
その言葉を聞いて今度は烏野バレー部が皆顔を顰めた。