第10章 烏野、完全体へ
「あとはセッターか。
お前らの方からセッター1人貸してくれ!」
菅原と影山の方へと向きを変えると繋心はそう告げた。
2人は思わず気まずそうな表情になる。
それでもすかさず、菅原が前へと出る。
「菅原さん!俺に譲るとかじゃないですよね。
...菅原さんが引いて俺が繰り上げみたいなの、ごめんですよ」
「...俺は影山が入ってきて正セッター争いしてやるって思う反面、どっかでホッとしてた気がする。
セッターはチームの攻撃の軸だから1番頑丈でなくてはならないのに、俺はトスをあげることにびびってた。
...俺のトスで...またスパイカーが何度もブロックに捕まるのが怖くて」
菅原はぐしゃりと顔を歪めると下を向いた。
「圧倒的な力を持つ影山に隠れて、
安心...してたんだ。
スパイクがブロックに捕まる瞬間考えると今も怖い。
けど、もう一度俺にトスを上げさせてくれ。旭!」
菅原は東峰がおどろいた表情をしたのを見たあと、影山の方へ振り返り、
「影山、負けないからな。」
「俺もっス」
町内会チームのコートへ向かおうとした菅原の腕ををが掴んだ。
『菅原さん安心してくださいね。
たとえ町内会チームのコートにいてもうちの選手だから悪いところはビシバシ指導しますからね!』
ニコリと笑うの爽やかな表情とともに、の熱い情熱を感じ取った菅原は釣られるように笑った。
「ああ、頼んだよ。頼もしいうちのトレーナー。」